なぜコップの氷が溶けても水があふれないのか?
氷が浮かんでいる水の表面がふちギリギリのコップがある。
このとき入っている氷が溶けても、コップの水はあふれない。
「なぜなのか?」と親戚の中学生に質問されたので、理論的に答えてあげた時のメモ。
氷が水になった時の体積と押しのけられた水の体積
コップを観察すると、氷には水面から上にある部分と、水中にある部分がある。
このとき、水中にある部分の体積が、押しのけられた水の体積だ。
コップから水があふれるかどうかは、この押しのけられた水の体積(A)と氷を作っていた水の体積(B)の関係が
- A<Bのとき・・・水はあふれる
- A=Bのとき・・・水面は変わらない
- A>Bのとき・・・水の量は減る
ということになる。
つまり、押しのけられた水の体積と、氷を作っていた水の体積を比べれば結果はわかる。
氷は水に浮く
水の中に氷をいれると氷は浮く。このことから氷の密度は水の密度よりも小さいことがわかる。
このとき、氷には「浮力」が働いている。この浮力の大きさは「氷が押しのけた水の重さ(質量)」によって決まる。
このことから少しずつ考えてみよう。
押しのけられた水の体積(A)は?
まず、氷が浮くときに、どれくらいの水を押しのければ浮くことができるのかを考えてみよう。
1辺が1cmの立方体の氷があるとし、この氷が X cm水中に沈んでいるとしよう。
0℃での氷の密度は約 0.96 g/cm3 で水の密度は 1.00 g/cm3 である。
この氷(体積 1 cm3 )の重さは 0.96 g だから、水から 0.96 g 分の浮力をもらえば浮くことになる。
氷が押しのけている水の体積は 1 × 1 × X = X cm3 で、この押しのけられた水の重さは X × 1.00 = X g となる。
つまり、X g = 0.96 g ということになるから、この氷は 0.96 cm 水に沈んでいることが分かる。
つまり、押しのけられた水の体積(A)は 0.96 cm3 だ。
氷を作っていた水の体積(B)は?
次に、この氷を作っていた水の体積(B)を考える。
この氷の重さは 0.96 g 、溶けて水になっても 0.96 g あるわけだから、その体積は 0.96 cm3 となる。
つまり、A=Bの関係になるから、水に浮いている氷が溶けても決してコップから水があふれることはないのである。
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