パソコンのCPU使用率と消費電力は比例関係なのか?実験してみました
こんなことを10年前くらいに聞き「ふーん・。・」となったのですが、最近、電化製品の消費電力を計測できる機器を購入したので、実際にパソコンのCPU使用率と消費電力の関係を簡単な実験をして調べてみました。
消費電力の計測
パソコンのカタログを見ればその製品の消費電力がわかるのですが、たいていは「最大消費電力」しか書いておらず、通常使用のときの消費電力は詳細にはわかりません。
また、パソコンはしている作業内容によってもCPU使用率が変化し、消費電力もそれに伴って変化します。
冒頭でも述べた通り、以前パソコンに詳しいであろう人が
パソコンのCPU使用率が上がると消費電力も比例して大きくなる
と言っていたのでそれを無条件に信じていたのですが、最近サンワサプライのワットモニターという消費電力計測機器を購入したので、こいつを使って実際に検証してみます。
このワットモニターですが、電化製品のプラグを差し込んでコンセントに繋ぐことで、電化製品に流れる電気を計測でき、瞬間瞬間そのときどきの電化製品の消費電力を表示してくれます。
amazonの商品レビューでも「精度の高い計測ができる」と評判だったので、これを使って
CPU使用率と消費電力の関係
を探ってみます。
CPU使用率と消費電力の関係は本当に比例になるのか?
実験環境ですが、パソコンは「Lenovo H520s」モニタは「Lenovo LI2221swA(21.5インチ)」を使います。
実験環境はこんな感じで、今回は右側のモニタは使用しません
そして詳細な実験内容ですが、とあるソフトを使ってCPU使用率を変化させ、そのときの消費電力を計測します。
なお、パソコンのCPUは「Intel(R) Core(TM) i3-3220 CPU @ 3.30GHz」です。
ちなみにパソコンとモニタはセットで購入したのですが、カタログ上での消費電力はこう書いてありました。
- 最大消費電力……90.62W
- 標準時……………41.25W
- 低電力……………1.39W
CPU使用率をどう変化させるか?
CPU使用率を任意の値にするためにどうしようか?と思案したのですが、実は最近仮想通貨の採掘に興味があってMinergateというマイニングプールのソフトをパソコンにインストールしています。
こいつがけっこう優れもので、CPU使用率を4段階(25%、50%、75%、100%)に分けることができるので(私の環境の場合)、CPU使用率の変化はこのソフトを使います。
※余談ですが、ワットモニターを購入したのは仮想通貨の採掘にかかる電気代を算出するためですw
実験開始!
ということで、CPU使用率を4段階(25%、50%、75%、100%)にコントロールして、その時の消費電力を求めたいと思います。
CPU使用率0%
パソコンを起動してしばらく放置すると、次のようにCPU使用率は0%になります。
このときの消費電力を確認したところ「46.5W」でした。
CPU使用率25%
ソフトを使ってCPU使用率を25%にして数分ほど放置しました。
このときの消費電力は「61.9W」でした。
CPU使用率50%
同様にCPU使用率を50%にしたとき、
消費電力は「71.3W」でした。
CPU使用率75%
CPU使用率が75%のときの消費電力は「73.2W」でした。
CPU使用率99%
CPU使用率が99%のときの消費電力は「74.4W」でした(CPU使用率は100%にはできず99%がマックスでした)。
このときの関係を表にまとめると・・・
CPU使用率(%) | 0% | 25% | 50% | 75% | 100% |
消費電力(W) | 46.5 | 61.9 | 71.3 | 73.2 | 74.4 |
なお、今回はCPU使用率による消費電力の増加を調べたいので、CPU使用率が0%のときの消費電力は引いてあげなければなりません。ということで補正したデータはこちら。
CPU使用率(%) | 0% | 25% | 50% | 75% | 100% |
消費電力(W) | 0 | 15.4 | 24.8 | 26.7 | 27.9 |
2回目と3回目の実験データ
1回だけの実験ではデータの信頼度が低いので、別の日に同じ実験を行いました。その時のデータはこちら。
2回目
CPU使用率(%) | 0% | 25% | 50% | 75% | 100% |
消費電力(W) | 0 | 15.2 | 25.2 | 26.7 | 28.1 |
3回目
CPU使用率(%) | 0% | 25% | 50% | 75% | 100% |
消費電力(W) | 0 | 14.8 | 24.1 | 26.0 | 27.1 |
データのまとめ
3回分の実験データを表にまとめるとこうなります。
実験データのばらつきを示す標準偏差の値を見ても実験データとして妥当じゃないかと思います(感覚ですw統計学的にどうなのかは調べてません!)。
そして、これを折れ線グラフにしてスムージングしたグラフがこちら。
これでパソコンのCPU使用率と消費電力の関係をあばけましたね。
考察とまとめ
実験前は「CPU使用率と消費電力の関係は概ね比例関係になるんじゃないか?」と思っていましたが、結果は非直線抵抗のようなグラフになりました。
結局CPUも電流で動かすので、使用率を上げていくと抵抗が大きくなり、大きな視点で見た電流と電圧の関係になるんでしょうか?(私はCPUの仕組みがわかんないので何とも言えません)
※中学校の理科で学習したオームの法則は比例関係ですが、あれは限定された範囲での話です。
さて、今回の実験でパソコンのCPU使用率と消費電力の関係は、
比例関係ではなく非直線抵抗のような関係になる
ということがわかりました。
もっと細かくするとこんな感じでしょうか?
- CPU使用率が0%~50%の場合は比例関係(っぽくなる)
- CPU使用率が50%を超えたら消費電力は収束する
当然ながらこの実験結果は私のパソコンのものなので、パソコンの種類が違えば実験データもガラリと変わるかもしれません(ただ根拠も何もないですが、私が持っている電気の知識から推測すると、おそらくどんなパソコン(CPU)も上のグラフのように非直線抵抗の形になるのではないかと思います)。
ファンの消費電力を考慮していない
ちなみにですが、今回の実験はファンが回らない状況で行ったのですが、CPU使用率が高くなると当然発熱量も大きくなるので熱を逃がすためにファンが激しく回り始めます。
そうするとファンの消費電力が発生し、CPUによる消費電力+ファンによる消費電力となるので、単純にCPU使用率が50%を超えたら後はパソコンを酷使しても電気代変わらない!とはならないのでご注意ください。
あわせて読んでほしい!
コメント
2:管理人:2017/11/04 0:23:34
コメントありがとうございます。
>CPUの”発熱量”はCPU使用率ではなくCPUの”消費電力”に応じる
なるほど。冷静に考えるとそうですね。
CPU使用率50%の時点で100%のときと消費電力が変わらないのであれば発熱量も変わらないはずなのでファンの稼働もほぼ同じですね。
勉強になります。感謝です!
1:_:2017/11/03 13:18:00
ファンの消費電力を考慮していないの項目ですが、
結局の所、CPUの”発熱量”はCPU使用率ではなくCPUの”消費電力”に応じるので
CPU使用率50%を超えたぐらいから消費電力に比例して発熱量もCPU使用率100%に近い状態になるのでファンの回転もCPU使用率50%を超えたぐらいからフル稼働になるべきで
単純にCPU使用率が50%を超えたら後はパソコンを酷使しても電気代(殆ど)変わらない!の結論で良いのではないでしょうか