「燃焼の三要素」とその例外について

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カテゴリー: 生活

ブログで「燃焼の三要素」なんて書くとブログ炎上をイメージしてしまう私ですが今回は純粋に科学現象の話ですw

先日、仕事でトラブルが生じた知人から「燃焼の三要素が満たされない場合でも燃焼することってあるの?」と相談を受けたので、一応理系の大学院を卒業しているので調べてみました。

結果、燃焼の三要素が満たされなくても燃焼っぽいことが起きる!ということがわかったのでここに詳細を書いておきます。

燃焼の三要素

まずは燃焼の三要素をまとめておきます。

一般的に燃焼が起きるためには次の3つの要素が必要とされており、これらを燃焼の三要素といいます。

  1. 可燃物(燃焼するもの)
  2. 酸素供給体(燃焼には酸素が必要)
  3. 点火源(燃焼のきっかけとなるもの)

ちなみに点火源とは、ライターやマッチ、火花、静電気、摩擦熱があります(発火させるために必要)。

燃焼とは?

そもそも燃焼とは何でしょうか?

中学の時に使っていた理科の教科書を引っ張り出して定義を確認してみました。

熱と光の発生をともなう酸化反応

「酸化反応」とあることから、燃焼には「酸素」が必要であることがわかります。

燃焼の例

燃焼でもっとも一般的なのは物が燃える現象ですね。

紙を準備してライターで火をつけると、勢いよく燃えます(光と熱が発生します)。

この場合、このような関係になります。

  • 可燃物   :紙
  • 酸素供給体:空気
  • 点火源   :ライター

燃焼はエネルギー放出の現象

燃焼は、「熱」と「光」が発生することからエネルギー(熱エネルギー、光エネルギー)放出の現象であるといえそうです。

ちなみに放出されるエネルギーはどこからくるのか?ということですが、化学反応によって出される化学エネルギーからきます。

高校で化学を習ったことがある人はこのような図を見たことがあるはずです。

化学反応(燃焼の場合は酸化反応)によって物質が持っていた内部のエネルギーが放出され、そのエネルギーが熱や光となるのです。

燃焼の三要素が欠けた場合

燃焼の三要素のうち何かが欠けた場合を考えてみます。

可燃物がない場合

これは想像するとシュールですねw

燃焼させるべきものがない空気中でマッチをする・・・ただそれだけで燃焼は起きません(マッチ自体は燃焼しています)。

酸素がない場合

酸素がない環境下(窒素で充たした容器内など)で可燃物を点火しても燃えません。ゆえに燃焼は起きません。

点火源がない場合

点火源がない状況とは、可燃物を空気中に放置している状況です。

これでは燃焼は起きませんね(起きていたら私の家はもはや無事でいられませんw)。

燃焼の三要素の例外?

燃焼という現象をざっくり考えてみると、物質が持っていたエネルギーが多量に外部に放出される現象であると言えます。

そのためエネルギーを多量に持っている物質で自ら発火できるものであれば「燃焼の三要素」がなくても燃焼しそうです。

以下に燃焼の三要素がなくても燃焼(っぽいこと)が起きる例外をいくつか紹介したいと思います。

脱脂綿に急激に圧力をかける

加圧できる容器に脱脂綿を入れて、急激に圧をかけると断熱圧縮により内部温度が上がり、脱脂綿が燃焼します。

これは脱脂綿が発火して(酸素との化学反応によって)脱脂綿が持っていたエネルギーが外部に放出されて光と熱が発生するという現象です。

この場合、燃焼の三要素を整理するとこうなります。

  • 可燃物   :脱脂綿
  • 酸素供給体:空気
  • 点火源   :???

ただし、「圧を加えて(脱脂綿の発火点まで)温度を上げている」ので、これは点火源とも言えそうなので微妙な例ですね。

黄リンの自然発火

リンには赤リンと黄リンがありますが、黄リンは空気中で自然発火します(なので保管は水中で行います)。

黄リンが発火した場合、燃焼の三要素を整理するとこうなります。

  • 可燃物   :黄リン
  • 酸素供給体:空気
  • 点火源   :なし

ちなみに黄リンの発火点は34℃なので、温度を点火源とみなせばこれまた微妙な例ですね。

シランの自然発火

シラン(SiH4)いう物質も、黄リン同様に自然発火します。

シランの濃度が高ければ着火源がなくても自発的に発火燃焼する

ということなので、これも燃焼の三要素を整理するとこうなります。

  • 可燃物   :黄リン
  • 酸素供給体:空気
  • 点火源   :なし

ちなみにシランの発火点は21℃で、温度を点火源とみなせばこれも微妙ですね。

分解爆発性ガス

分解爆発性ガスは面白い性質があって、酸素供給体がなくても分解反応によってエネルギーを放出して燃焼が起きます。

具体的に言うと、アセチレンを点火すると分解反応によって(酸素がない環境下でも)火炎が生じて燃焼が起きます。アセチレン以外にもエチレンオキシドオゾンなどがあるようです(参考)。

分解爆発性ガスの場合、燃焼の三要素を整理するとこうなります。

  • 可燃物   :分解爆発性ガス
  • 酸素供給体:なし
  • 点火源   :あり

こう考えると、酸素供給体がなくても燃焼を起こすので、分解爆発性ガスは燃焼の三要素の例外であると言えそうです。

ただし、燃焼を厳密に

熱と光の発生をともなう酸化反応

と定義するのであれば、分解爆発性ガスは酸素と化合しないので「酸化反応」とは言えません。

なのでそもそも燃焼ではないのかもしれませんが、分解反応の進行によって多量のエネルギーが放出されて光と熱が発生するため「燃える」という現象は起こりえます。

まとめ

中学校の理科で「燃焼の三要素」を習って以来、「燃える」という現象は三要素がないと起きないと思っていましたが、どうやら例外があるっぽいですね。

昔読んだ99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方という書籍を読んでから断定はしないようにしていましたが、また新たな知識を得ることができました。

「引火点」と「発火点」の違い

ちなみに私に相談してきた知人は「引火点」と「発火点」の違いがわかっていなかったので整理しておきます。

  • 引火点:点火源によって火が付く温度。引火点未満の温度であれば点火源を接触させても燃焼しない。
  • 発火点:点火源がなくとも自ら燃え上がるときの温度。発火点未満であれば自然発火しない。

 

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